そもそもキャリア以前の話だった

2026年に、労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法などが一部改正されます。
その中には、「就活セクハラ防止措置の義務化」も含まれています。(施行日は未定)

これは一言で言うと、求職者(就職活動中の学生やインターンシップ生など)に対しても、セクシュアルハラスメントを防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務となりますよ、というものです。

事業主が講ずべき具体的な措置の内容は、今後、指針において示される予定ですが、現時点で想定される内容としては次のようなものが挙げられます。

・事業主の方針等の明確化および周知・啓発

・相談体制の整備・周知

・発生後の迅速かつ適切な対応など

これについては、やっと、というのか、やはり、というのか、いかに就活中の学生に対するハラスメントが多いかということが、ようやく世の中に広く認識されてきたということでしょう。
実際に、厚労省の調査によると、就活時のセクハラ経験者は約30%とされています。
出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」

約30年前になりますが、私も就職活動をしました。いわゆる就職氷河期世代です。

当時は、応募条件が男性のみ、という企業が複数あったと記憶しています。送った履歴書の数は50通までは数えていましたが、最終的に何通書いたのかは覚えていません。

少しでも興味のある仕事には応募していましたが、書類はまず通らない。
定期採用をしていない出版社のアルバイトの面接に行った際には、担当者の男性に、「あなたのようなお嬢さんに何ができるというのか」と言われ、強いショックを受けて帰ってきたこともありました。

そして、就活セクハラといえば、忘れられない出来事があります。
一応、業種としてはマスコミですが、大学4年の秋に超零細企業に内定した私は、一人暮らしの部屋から新幹線で研修に通っていました。
その事業場の代表は、私の祖父と同年代くらいの男性でした。
研修という名目でさまざまな場所へ同行しましたが、ある日、東海地方へ行くというのでついて行くと、なんと有名ホテルの一室が予約されていました。
まさかとは思いましたが、予約されていたのは1部屋のみ。もちろん、何事も起こさせませんでしたが、祖父と同年代の、病気がちのおじいさんが、20歳そこそこの学生に対してそのような目を向けていたという事実に、恐怖というよりも驚きと強い嫌悪感を覚えました。
その他にも、夜間に電話をかけてきたり、留守にしていると詮索するようなメッセージを残されたことが複数回あり、当時は強い違和感と不安を抱えていました。

最終的に、その事業場には正式に入社する前に辞退を申し出て、受けた嫌がらせについては警察に届け出ました。

これは約30年前の出来事です。
国としてようやく法令上の義務として措置が取られることは良いことだと思いますが、随分と時間がかかったな、という印象です。
これによって就活時の性被害が完全に解決するわけではありませんが、まずは一歩前進といえるのではないでしょうか。

就活においては、どうしても上下関係や力関係が関与するため、学生は嫌なことを嫌だと言えず、平気なふりをしてしまうことがあります。
男女を問わず、今まさに苦しんでいる学生もいることでしょう。
学生から社会人になる過程で、このような現実を突きつけられては、社会に出ることが怖くなったり、絶望したり、あるいは、ばかばかしく感じたりすると思います。
しかし、一人で抱え込まず、誰かに話す勇気を持てるといいな、と思っています。

メンタルサポートオフィスLink | 心理カウンセラー 加藤慶美

[所属] 日本臨床死生学会,日本トランスパーソナル学会 [資格・免許] 国家資格キャリアコンサルタント,一般社団法人産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー,両立支援コーディネーター,中学校教諭一種免許状(音楽),高等学校教諭一種免許状(音楽)

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