カウンセリングをしていると、クライエントさんがふと、こんなことを口にされることがあります。
「最近、人の言うことを真に受けなくなったんです。」
その言葉を聞くと、私は心の中でそっと微笑みます。
私自身も、かつては人の言葉に一喜一憂していたことがあります。
誰かの一言に傷ついたり、「自分が間違っているのでは」と悩んだり。
今となっては、何に悩んでいたのかも思い出せないくらいですが。
人の言葉を真に受けなくていいのは、その言葉が「その人の世界の見え方」から生まれているからです。
人はそれぞれ、日常の中でよく顔を出す感情のベースのようなものを持っています。
たとえば、「怒り」がベースの人もいれば、「不安」や「平穏」がベースの人もいる。
その感情を通して、世界を見て、感じて、言葉にしているのです。
たとえば、Aさんのベースが「怒り」だとしたら、どんな出来事も怒りに結びついてしまう。それは、Aさんの中にある“感情のトーン”がそうさせているのです。
朝から雨が降っている日。
「うわ、最悪」と感じる人もいれば、「やった、あの傘が使える」と嬉しくなる人もいる。
「雨か」とただ受け止める人もいれば、「電車が混むじゃないか」とイライラする人もいる。
同じ雨でも、感じ方は人それぞれです。
それは、心の奥に流れる感情のトーンが違うから。
私は「感情のトーン」と呼んでいますが、「気分」に近いものかもしれません。
ある本では「意識レベル」という言葉で表現されていました。
(デヴィッド・R・ホーキンズ著『パワーか、フォースか』より)
この考え方には賛否あるかもしれませんが、「人はそれぞれ違う視点で世界を見ている」という点で共感しています。
ですから私は、人の言葉を真に受ける必要はないと思っています。
その人が、どんな感情のトーンで世界を見ているのかによって、発する言葉が違うからです。
そして、その背景を想像してみると、こちら側の言葉の受け取り方も変わってきます。
人に誠実であろうとする人ほど、人の言葉を真剣に受け止めてしまいがちですが、本当はもっと、自分の感じ方を信じて、優先して良いと思います。
あなたは、どんな感情のトーンで世界を見ているでしょうか。