怒りと嫌いの関係について

某所からの依頼で、声の録音の仕事をしてきました。

怒り、悲しみ、喜びなど、感情を声に乗せた話し方や、逆にまったく感情を乗せない話し方。声のトーンを低くしたり高くしたり、ほとんど口を開けない話し方など、先方の注文に合わせて録音していきます。

以前、元声優の方から似たようなレッスンを受けたことがあったので、その記憶を総動員しつつ、正味2時間の収録を終えました。

そこで、ちょっとおもしろい気づきがありました。

「怒りの感情で読んでください」と言われ、怒りは比較的やりやすい部類の演技だと思っていたのですが、久しぶりにやってみて、とんでもないエネルギーを使っていることに改めて気づきました。

怒りを表現するときに、「腹が立つ」とか、「頭にくる」と言いますが、実際に怒りの声を出すときは、背中の上部から両肩が盛り上がるくらい力を入れて、声を出します。

その部分にわざと力を入れて、怒りの体勢を作って発声すると、我ながら、かなり怒っている人の声になり、その場にいた関係者の方たちの緊張感が伝わってきました。

まあ、そうですよね。中年女性の激怒ボイスを至近距離で浴びせられたら、誰だって体が固まるでしょう。

そして収録が終わった瞬間、どっと疲れが出て、しばらく体の震えが止まりませんでした。

怒りってこんなに体力を奪うのか!と、自分でも感心してしまうほど。

だから、日々、怒りに支配されている人は、ただ居るだけで人よりも体力を消耗しているはずです。

この、震えが止まらないという現象は、本当に恐ろしい。日常的に怒りを抱えていたら、体の内側に常にマグマを抱えているようなものですから、当然、体も壊れるだろうと納得しました。

かつて、私自身が内臓の病気をした頃は、ものすごい怒りを抱えて生活していたのだな、と懐かしささえ感じました。

一方、喜びの感情でセリフを読んでいるときは、それなりにエネルギーは使うものの、明るく軽いので、怒りほどの負担はありません。

そう考えると、嫌いな人と一緒にいなければならない環境や、嫌なことをやらされている環境は、当然ながら怒りを誘発し、結果として身体的負荷を高めます。

できるだけ自分の「嫌い」を正しく認識して、そこから離れること。

社会ではあまりこういうことを教えてくれませんが、自分を守るには、案外、これがいちばん手っ取り早いセルフケアなのだと思います。

メンタルサポートオフィスLink | 心理カウンセラー 加藤慶美

[所属] 日本臨床死生学会,日本トランスパーソナル学会 [資格・免許] 国家資格キャリアコンサルタント,一般社団法人産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー,両立支援コーディネーター,中学校教諭一種免許状(音楽),高等学校教諭一種免許状(音楽)

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